デソゲストレルの効果・副作用・禁忌
デソゲストレルの目次
デソゲストレルの効果
デソゲストレルは血中における黄体ホルモンの濃度を上昇させる効果があります。
これによって血中のホルモン量が妊娠している時に近い状態になり、脳にある視床下部と下垂体前葉は卵巣から黄体ホルモンが分泌されていると錯覚します。
結果的にGnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)とLH(黄体化ホルモン)の分泌が止まり、卵胞の成長に必要なこれらのホルモンが分泌されなくなり、排卵が止まる仕組みです。
またデソゲストレルを服用することによって血中黄体ホルモンの濃度が上昇します。
すると子宮内膜の細胞の増殖が抑えられることから子宮内膜が薄くなり、排卵が起きた場合でも受精卵の着床をすることがありません。
子宮頸管の粘液からは水分が損なわれ、粘度の粘り気が強くなることから、精子が子宮頸管を通過しづらくなり、精子の侵入も防ぐ役割もあります。
デソゲストレルの特徴
デソゲストレルはピルに含まれている黄体ホルモン剤のことを指します。
デソゲストレルは避妊を計画的に行うことを目的としたピルに含まれており、月経周期に合わせて服用し続けることで、服用を続ける間は排卵を阻止して受精を防ぐことができます。
デソゲストレルと一緒にエチニルエストラジオールを配合しているピルもあり、この配合薬は臨床試験で99.9%の妊娠阻止率を誇っています。
そのことからほぼ確実に妊娠を阻止することが立証されています。
デソゲストレルを含んだピルは第3世代のピルと呼ばれており、従来の第2世代のピルよりもニキビやムダ毛と言った副作用が生じにくい特徴があります。
これは従来のピルに比べて黄体ホルモン剤に含まれるアンドロゲン活性がなくなっているためです。
アンドロゲン活性とは、皮脂腺の活性化、体毛の増加など男性ホルモンのような働きをすることを指します。
アンドロゲン活性のないデソゲストレルを含む第3世代のピルは副作用が少なくなっている分、服用しやすく非常に人気の高い成分です。
デソゲストレルの臨床試験結果
デソゲストレルが避妊に効果があるかどうかは避妊を望む女性933名を対象に、1年以上の臨床試験で検証されています。
臨床試験ではデソゲストレルとエチニルエストラジオールが配合された低用量ピルを1日1回、服用してもらい全症例を合わせて13,801周期の経過観察を行いました。
結果として全体の99.9%、932名の女性で避妊が成功したことから、デソゲストレルは高い避妊効果が得られると立証されています。
また1例あたりの平均服用期間としては414日です。
1年以上の経過観察を行っていたのにも関わらずに、避妊に失敗した報告がわずか1例だったということから、デソゲストレルは避妊に効果がある実績を作ることが可能となりました。
デソゲストレルの服用方法
1回の服用量は1錠となっています。
生理周期の安定を図るために、毎日決まった時間に服用すると効果的です。
飲み始めて21日経過したら、7日間の休薬期間を設けて、29日目からまた服用を再開してください。
休薬期間を終えて1サイクル完了となるため、引き続き次のシートを開封して継続します。
服用時の注意
万が一飲み忘れてしまった場合は、気が付いた段階で服用しても問題ありません。
しかし2錠以上の飲み忘れが続いてしまった場合には、避妊効果が低下し、妊娠する可能性が上昇するため、その場合には服用を一旦停止して、次の月経を待ち、発生したその日からデソゲストレルの服用を再開してください。
またデソゲストレルの避妊効果が期待できるのは服用開始から7日以降となっているため、この期間は避妊具を使用するなど別の方法で避妊してください。
デソゲストレルの副作用
医薬品には全て副作用というものが存在します。
それはデソゲストレルも例外ではありません。
薬の本来の目的通り働く効果を主作用といい、本来の目的以外で出てしまう効果を副作用と言います。
一般的に薬に含まれる成分は、1つの症状にのみ作用するわけではなく、望む治療効果以外にも作用してしまう場合が多いです。
服用時の体の体調によって副作用が生じる場合や、成分に対するアレルギー症状が副作用として生じる場合があります。
起こりやすい副作用
・頭痛
・悪心
・倦怠感
・消退出血
・不正子宮出血
デソゲストレルの副作用として、上記の副作用が生じやすいとされています。
生理が始まる直前の黄体期と類似しており、黄体期には頭痛、眠気、全身のだるさなどが生じます。
また、月経とは関係なく、性器からの出血が見られる場合もあります。
どれも一時的な症状であり、深刻に捉える必要はありませんが、症状が重い場合や長引く場合には、医師にご相談ください。
デソゲストレルを服用してはいけない人
デソゲストレルを服用するにあたって以下に該当する方は服用をしてはいけません。
・デソゲストレルに対しての過敏症を発症した経験がある方
・異常性器出血のある方(診断が確定していない場合)
・血栓性静脈炎、脳血管障害、肺塞栓症、冠動脈疾患の方、またはこれらの既往歴がある方
・35歳以上で1日に15本以上の喫煙者
・前兆の伴う片頭痛の方
・肺高血圧症、心房細動を合併する心臓弁膜症の方
・血管病変を伴う糖尿病の方
・抗リン脂質抗体症候群の方
・血栓性素因のある方
・手術予定4週間前、術後2週間以内、出産してから4週間以内の方
・重篤な肝障害のある方
・肝腫瘍のある方
・脂質異常症の方
・高血圧の方
・耳硬化症の方
・妊婦、妊娠の可能性がある方
・骨成長が終わっていない可能性のある方
上記に該当する方はデソゲストレルを服用してはいけません。
過去に過敏症を引き起こしたことのある方は再度の服用で過敏症が強く生じてしまう可能性があります。
肝障害や脂質異常のある方が服用することで、成分が肝臓で吸収するため、臓器に大きく影響を及ぼす危険性があります。
妊娠の可能性がある方や妊婦がデソゲストレルを服用しても避妊の効果はありません。
デソゲストレルの併用注意薬
医薬品を服用する際には、併用禁忌薬と併用注意薬というものが存在します。
併用禁忌薬はデソゲストレルと一緒に服用することで体に重大な影響を与えてしまう可能性のある医薬品です。
デソゲストレルを服用する際には、自分が現在服用中の薬をしっかりと確認する必要があります。
併用注意薬はデソゲストレルと一緒に服用することで体に様々な影響が及ぶ可能性があり注意が必要な医薬品です。
薬の効果を弱めてしまったり、逆に強めてしまう場合があるので、注意してください。
併用禁忌
・オムビタスビル水和物
・パリタプレビル水和物
・リトナビル配合剤
デソゲストレルとの併用によって薬剤の代謝を抑え、効果を増強する恐れがあるため併用してはいけません。
また、デソゲストレルの成分や効果は服用を中断した後も一定期間身体に残留します。
そのため、上記の成分を含む医薬品を服用しなければならなくなったときも、デソゲストレルの服用を中断した後、約2週間あけて開始してください。
併用注意
・副腎皮質ホルモン
・三環系抗うつ剤
・セレギリン塩酸塩
・シクロスポリン
・テオフィリン
・オメプラゾール
・モダフィニル
・ヒダントイン系製剤
・テトラサイクリン系抗生物質
・ペニシリン系抗生物質
・テルビナフィン塩酸塩
・Gn-RH誘導体
・血糖降下剤
・ラモトリギン
・モルヒネ
・サリチル酸
・HIVプロテアーゼ阻害剤
・非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤
・HCV感染症治療薬
・フルコナゾール
・セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)
上記の医薬品とデソゲストレルを併用する場合には注意が必要です。
併用することでデソゲストレルの効果が増強、減弱する恐れがあります。
他にも月経異常、血中濃度の低下、上昇、性器からの異常出血などを引き起こす可能性があるため、同時に服用する場合には医師に相談してから服用するようにしてください。
関連ページ
避妊薬の関連商品一覧
参考サイト
・医療用医薬品 : マーベロン