睡眠薬の正しい飲み方を解説!タイミングや食事の影響についても紹介

睡眠薬の正しい飲み方を解説!タイミングや食事の影響についても紹介 睡眠

ベッドに入ったもののなかなか寝付けない、疲れているのにもかかわらず眠れないため疲労感が取れないなど、不眠を改善するために睡眠薬が必要な場合があります。

しかし睡眠薬は適切な方法で服用しなければ、十分な効果を得られません

ここでは効果を最大限に引き出すための、正しい飲み方に関して詳しく解説します。

基本的な睡眠薬の飲み方

睡眠薬にはいろいろな種類がありますが、基本的な飲み方は同じです。

  • 就寝前15~30分に服用
  • 空腹の状態で、水かぬるま湯で服用
  • 睡眠薬を飲んだら速やかに横になる
  • アルコールと一緒には飲まない

睡眠薬を服用した後はすぐにベッドの中に入って横になることで、スムーズに入眠できます。

睡眠薬を飲んだ後は記憶がないまま行動してしまうことがあるため、食事や入浴、歯磨きなど全て終えて、あとは寝るだけという状態にしておきます。

◇睡眠薬を飲む前のチェック◇
・大事な電話や連絡などは済ませているか?
・食事は済ませているか?
・入浴は済ませているか?
・歯磨きやトイレなどは済ませているか?
・やるべきことは全て終え、あとは寝るだけの状態になっているか?

正しい用量を守る

睡眠薬は期待している効果を得るために、正しい用量を守る必要があります。

1回の服用量や1日の最大服用量など、一部の睡眠薬について正しい用量を詳しく紹介します。

成人 高齢者
デエビゴ
(レンボレキサント)
1回5mg
最大1回10mg
1回5mg
最大1回10mg
ルネスタ
(エスゾピクロン)
1回2mg
最大1回3mg
1回1mg
最大1回2mg
マイスリー
(ゾルピデム)
1回5~10mg
最大1回10mg
1回5mgから
最大1回10mg
ベルソムラ
(スボレキサント)
1回20mg 1回15mg
ロゼレム
(ラメルテオン)
1回8mg 1回8mg
ハルシオン
(トリアゾラム)
1回0.25mg
最大1回0.5mg
1回0.125mg
最大1回0.25mg
サイレース
(フルニトラゼパム)
1回0.5mg
最大1回2mg
1回0.5mg
最大1回1mg
ソナタ
(ザレプロン)
1回10mg
最大1回20mg
1回10mg
最大1回10mg

高齢者は代謝機能の衰えによって、成人と同じ量を服用すると効きすぎてしまう場合があるため、
睡眠薬の種類によっては成人よりも少ない量を推奨している場合があります。

追加で服用しない

決められた用量を服用したものの、なかなか寝付けないからと1錠追加して服用するなどしてはいけません

有効成分を必要量より多く摂取してしまうことになるため、ふらつきや自分のとった行動を覚えていない記憶障害の副作用が強く出る可能性があります。

また翌日に眠気を持ち越してしまい、仕事や家事など生活に支障が出てしまう恐れがあります。

睡眠薬を飲むタイミングと食事

睡眠薬を飲むタイミングと食事
睡眠薬は就寝前に服用する治療薬ですが、食事の影響を受けるため、できるだけ空腹の状態での服用が推奨されています。

次の項目では睡眠薬を食前や食事中、食後すぐに服用するとどのような影響が出るのか、また服用の際の注意事項などそれぞれ詳しく説明します。

参考サイト
薬の正しい使い方 「食前」「食間」「食後」など、薬によって飲むタイミングが違うのはなぜですか | 日医工株式会社

食前には飲まない

食前とは、食事をとる前の20~30分前までのことを指します。

胃の粘膜を保護する目的の胃薬などは食前に服用しますが、睡眠薬は食前に服用してはいけません

多くの睡眠薬には、一時的に新たな記憶ができなくなる一過性前向性健忘があるためです。

一過性前向性健忘は、主に今自分がどこで何をしているのかわからなくなるため、食事をしたものの、食べたこと自体覚えていないという症例も報告されています。

知らないうちにお菓子を一箱食べてしまい、カロリーオーバーしていたということが起こる可能性があるため、食前の服用は避けましょう。

参考サイト
医療用医薬品 : ルネスタ (ルネスタ錠1mg 他) – 16.2.1 食事の影響

食事中・食直後は避ける

食後とは、食事を終えた30分以内のことを指します。

食事中や食直後は、胃の中に食べ物が入った状態です。

このタイミングで睡眠薬を服用する場合は、以下の2点に注意が必要です。

・空腹時と比べて入眠効果が遅くなる
・胃に食べ物があることで有効成分の吸収が高くなる

睡眠薬のルネスタやロゼレム、ベルソムラは食後に服用すると、空腹時の服用に比べて血液中の有効成分濃度が低くなるため、入眠効果が遅くなってしまいます

またドラールという睡眠薬は食後の服用により、有効成分の吸収が空腹時の2~3倍となるため、効果だけではなく副作用も強く出る可能性があります。

参考サイト
空腹時に服用する薬剤とその理由

グレープフルーツには要注意

グレープフルーツは、果肉やジュースに薬物代謝酵素CYP3の働きを阻害する成分が含まれています。

そのため睡眠薬と一緒に摂取してしまうと、有効成分の分解が遅くなるため、血中の有効成分濃度が高くなり、効果だけでなく副作用が強く出てしまう恐れがあります。

睡眠薬を服用する際は、グレープフルーツの摂取を避けてください。

参考サイト
CYPからみた睡眠薬 | 2020年 | 記事一覧 | 医学界新聞 | 医学書院

睡眠薬とアルコールの影響

睡眠薬とアルコールの影響
睡眠薬とアルコールは、一緒に服用してはいけません

どちらも肝臓で代謝されますが、睡眠薬とアルコールが同時に体内へ入ると、アルコールの分解が優先されます。

そのため睡眠薬の分解が滞り、通常よりも長時間体に作用し続けるためふらつきや記憶障害、おかしな行動をとるなど副作用が強くなる恐れがあります。

また、先にアルコールを飲んでから睡眠薬を服用することも、併用とほとんど変わらないため避けましょう。

参考サイト
お酒を飲んだあとに睡眠薬を飲んでもよいのですか。/千葉県

睡眠薬を服用した翌日への影響

睡眠薬を服用すると、効果が翌日まで持ち越されてしまい、以下の症状が現れる場合があります。

・眠気
・体のだるさ
・ぼんやり感
・頭痛
・口の中の苦み

睡眠薬の量が増えると、体内での有効成分の分解が間に合わなくなるため、翌日への持ち越しが起こりやすくなります。

また睡眠薬には効果の出方によって超短時間型、短時間型、中間型、長時間型の4つに分かれていますが、
効果の持続時間が長い長時間型では翌日への眠気の持ち越しが起こりやすくなります

参考サイト
睡眠薬による持ち越し作用とは?翌日も続く眠気や倦怠感の対処法を解説! – 相談e-眠り

翌日の予定を確認する

睡眠薬を飲んだ次の日、朝が早いために眠気などの効果を持ち越したくない場合は、効果時間が短いものにすると良いでしょう。

睡眠薬は効果時間によって4つに分けられていますが、その中でも

作用時間が2~4時間の超短時間型
6~10時間の短時間型

なら持ち越しを防止できます。

また、あまり遅い時間に睡眠薬を服用してしまうと、翌日の起床時間までに薬の効果が残ってしまう恐れがあるため、少し早めの時間に服用して就寝し、持ち越しを防ぎましょう。

睡眠薬を飲み続けるのは正しい?

睡眠薬には依存性があるため、不眠の症状がある場合は服用しますが、基本的には一生飲み続けるものではありません

医師の指導の元、睡眠薬を飲み続ける場合は特に問題ありませんが、不眠が改善した場合は、できるだけ睡眠薬が無くても眠れるように、生活習慣などを見直し改善する必要があります。

自己判断で急に睡眠薬の服用を中止してしまうと、体内にあった有効成分が急に無くなることで離脱症状がおき、再び不眠になることがあるため注意が必要です。

睡眠薬による離脱症状

睡眠薬を継続して服用している人が、急に服用量を少なくしたり服用を止めてしまったりすることで起こる症状を、離脱症状と言います。

離脱症状とは、服用している医薬品を中止した際に起こる不快な症状のことです。

以下のような様々な症状があります。

◇離脱症状◇
・不眠
・不安
・イライラ
・動悸
・吐き気
・ふるえ
・記憶障害
・痙攣発作
・幻覚

睡眠薬をやめる場合はいきなり中断するのではなく、少しずつ減量して体を慣らすことで離脱症状を防ぎ、最終的には服用をゼロにする形となります。

睡眠薬の飲み方に関するよくある質問

ここでは睡眠薬の飲み方に関する、よくある質問とその答えを紹介します。

睡眠薬を飲んだ後にトイレに行っても大丈夫ですか?

睡眠薬を飲んだ後は、できるだけトイレに行かない方が良いでしょう。

服用後にトイレに行くとふらつきが起こり、壁に頭をぶつけたり、転倒したりする危険性があるからです。

特に筋力が衰えている高齢者は注意が必要です。

トイレは睡眠薬を服用する前にすませ、夜中にトイレに起きないように、水分も必要以上に摂らないようにしましょう。

睡眠薬を他のものに切り替えることはできますか?

今服用しているものとは別の睡眠薬に変更したり、睡眠をサポートするサプリメントに切り替えることは可能です。

しかし、変更や切り替えの際も離脱症状が起こる可能性があるため、少しずつ服用量を減らす必要があります。

急な減薬や服用中止は離脱症状を発生させることになるため、医師と相談しながら行ってください。

他の薬を飲んでいるのですが、睡眠薬は飲めますか?

医薬品によっては、睡眠薬と併用できない場合があります。

主にCYP3A4誘導剤・阻害剤薬との併用は、睡眠薬の効果を強くしてしまうため注意が必要です。

また抗菌剤や抗真菌剤、抗うつ薬などは併用が禁止されているため、現在服用している治療薬がある場合は、睡眠薬を服用する前に必ず医師に相談しましょう。

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