煙草を自分の意志で止められない人は禁煙外来や通販サイトで禁煙治療薬を購入したり、ドラッグストアなどで禁煙グッズを購入したりしますが、2019年を目処に医師が処方するスマートフォンを使った禁煙アプリが今注目を集めています。
もとは海外の糖尿病患者が日々の血糖値管理を目的として作られたもので、スマートフォンに日々の血糖値や体重、食事の量を入力することでデータがクラウドに保存され、ソフトウェアが患者の状態を診断します。
これを禁煙患者にも当てはめ、患者には今どういった生活改善が必要なのかが明確にデータとして送られてくることで、食事の取り方や運動量などに対して行動変化が起こるというものです。
依存の種類
煙草を止められない原因はニコチン依存症によるものですが、このニコチン依存には実は2つの依存があります。
1つめは身体的依存といって、煙草を止めることによって頭痛やイライラなど上記で挙げたような禁断症状が出ます。
2つめが心理的依存といって、普段の私生活における食事後の一服、寝起きの一服など習慣的に手を伸ばしてしまうなどの依存です。
禁煙外来で処方されるチャンピックスは日本で唯一処方される禁煙に効果のある医薬品ですが、身体的依存に効果を発揮するものの、習慣づいた心理的依存には効果を発揮しません。
そこで禁煙患者に的確なアドバイスを送れる治療アプリが効果的との見解が強まっています。
禁煙治療の成功度
厚生労働省の諮問機関で、ニコチン依存症による禁煙補助薬を用いた3ヶ月の治療経過が発表されました。
初めの治療者数は3471人でしたが、週を重ねると徐々に減っていき、3ヵ月後には約1200人程度となりました。
治療終了後、9ヶ月経過しても禁煙を続けられた患者数は500人ほどに減少しているため、検証開始時の7/1程度しか禁煙が成功していないと言えます。
何故禁煙治療薬を使っても止められないのか、課題はどこにあるのかを調べた調査では3ヶ月~半年の間に再度吸ってしまう人が多い結果となりました。
禁煙外来に通ったとしても通院するペースは2週間おきに1回ほど、経過観察として医師との面談がありますが、時間も約10分程度です。
通院できない2週間の間、患者は孤独と戦わなければいけないため、この間に挫折してしまう人が多いところに目をつけ、アプリによるガイダンスサポートがあれば継続できるのではないかとの見込みです。
(引用元:https://www.huffingtonpost.jp/2017/10/26/kinen_a_23256269/)
上記の図で分かるように通院していない間をアプリによるフォローによって禁煙する継続意識を維持できるようなイメージです。
医師不足による医師との面談ができないとき、吸ってしまうかもしれない。そんな気持ちになってしまったときに止めてくれる誰かがいることで禁煙の成功率はぐんっと上昇します。
身体的依存であれば禁煙治療薬で食い止められるものの、心理的依存は誰かのサポートが1番の手助けです。
禁煙補助薬のメカニズム
では次に身体的依存に対してどのように禁煙補助薬が効果を発揮するのかお話します。
禁煙補助薬は大きく分けて2種類あり、明確には禁煙補助薬と禁煙グッズに分けられます。
禁煙補助薬はニコチンを含まない医薬品であり、バレニクリン成分が含まれています。
このバレニクリンが脳にあるニコチン受容体に働きかけることで、禁煙による身体的な禁断症状を抑え、再度煙草を吸った際に得られる満足感も軽減させられます。
この禁煙補助薬は今日本で唯一チャンピックスのみです。
禁煙グッズはニコチン代替治療といい、ニコチンを薬剤としての形で体内に補給します。
補給することで一度に体内からニコチンが奪われることなく、徐々に補給量を調整していきニコチン依存症から離脱するというものです。
国内ではニコレットやニコパッチなどがメジャーで、ガムやパッチなどドラッグストアなどで販売されているものが多いです。
アプリと禁煙補助薬で成功できる
多くの禁煙治療がうまくいかない人は、この心理的依存に対し強くアプローチできなかったものだと考えます。
よって患者の生活習慣に対する考え、根本的習慣を修正するアドバイスが的確な治療アプリであれば、患者自体の行動変化に直接結びつくわけです。
1日に吸ってしまった本数、当日の気分、処方された禁煙プログラムの進捗などを入力することで適切なアドバイスが届くシステムです。
書かせて頂いたとおり、禁煙アプリは心身的依存にしか効果がないため、禁煙を円滑に進めるためには、禁煙治療薬やグッズなども効率良く使用し、禁煙と向き合うことで成功すると考えられています。
禁煙補助薬との相性が抜群
以上のことからわかるように禁煙には2つのアプローチが大切なのが分かります。
アプリによる心理的依存をサポートされても身体的には染み付いた習慣は抜けませんし、その逆もまた言えます。
互いに足りない部分を補い合う治療薬として活用される時代ももうすぐそこまできています。
実用化が進み、アプリも禁煙補助薬として扱われることになれば今よりも禁煙が成功する可能性は上がるのではないでしょうか。
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