デュタステリドは、AGA治療薬ですが、継続して服用する必要がある医薬品のため、副作用が気になる方も多いのではないでしょうか。
ここでは主な副作用や、注意すべき副作用、気になる肝機能や性機能との関係について解説します。
デュタステリドの副作用と頻度
デュタステリドの主な副作用と、その発生頻度について紹介します。
副作用の系統と、その発生頻度についてわかりやすく表にしました。
1%以上 | 1%未満 | 頻度不明 | |
---|---|---|---|
過敏症 | 発疹 | 蕁麻疹、アレルギー反応、そう痒症、限局性浮腫、血管性浮腫 | |
精神神経系 | 頭痛、抑うつ気分 | 浮動性めまい、味覚異常 | |
生殖系及び乳房障害 | 性機能不全(リビドー減退、勃起不全、射精障害) | 乳房障害(女性化乳房、乳頭痛、乳房痛、乳房不快感) | 精巣痛、精巣腫脹 |
皮膚 | 脱毛症(主に体毛脱落)、多毛症 | ||
消化器 | 腹部不快感 | 腹痛、下痢 | |
その他 | 倦怠感、血中CK増加 |
デュタステリドの副作用が現れる確率
日本国内では、デュタステリドに関して52週間という長期の投与試験がおこなわれています。
その際の副作用に関する結果を以下にまとめました。
- 対象:20歳~50歳の男性(120例)
- 成分量:デュタステリド0.1mgまたは0.5mg
- 副作用発現確率:16.7%(120例中20件)
臨床試験での主な副作用は以下の割合となります。
・リビドー減退8.3%(120例10件)
・射精障害4.2%(120例5件)
参考:17.1.2 国内第III相試験(長期投与試験)|医療用医薬品 : ザガーロ
デュタステリドの重大な副作用
デュタステリドには、以下の重大な副作用があります。
・黄疸
どちらも発現頻度に関しては不明と報告されています。
肝機能障害に関しては、デュタステリドが肝臓で代謝され負荷がかかることが原因と考えられています。
肝機能に障害が起きた場合は、AST、ALT、ビリルビンの上昇等などがあらわれるため、血液検査を行うことで副作用の発現が確認できます。
また、皮膚や粘膜が黄色くなる「黄疸」もみられるため、予兆があらわれたらすぐに服用を中止し、医師の診断を受けましょう。
デュタステリドの気になる副作用
ここではデュタステリドの気になる副作用について、ひとつずつ紹介していきます。
性機能不全
デュタステリドは、AGAの原因となるDHTを生成するための酵素「5αリダクターゼ」の働きを阻害します。
5αリダクターゼは頭部以外に陰茎や前立腺にも存在しており、勃起などにかかわる働きをしています。
デュタステリドによってその働きを阻害され、EDや性欲減退などといった性機能不全の副作用があらわれることがありますが、これらはED治療薬で解消可能です。
デュタステリドとED治療薬は併用禁忌薬ではないため、一緒に使うことができます。
もしEDなど気になる症状がある場合、併用をおすすめします。
発疹
デュタステリドの副作用のひとつとして、発疹が現れる場合があります。
これは薬剤に対するアレルギー反応が原因で発症するため、アレルギー体質の方は服用前に医師に相談するか、パッチテストを行うことが推奨されています。
通常、薬の成分に反応して発疹が現れるのは、内服を開始してから1~2週間といわれています。
服用中にアレルギー反応と思われる症状が現れる場合は、すぐに服用を中止し、医師に相談してください。
抑うつ気分
デュタステリドはAGAの原因物質である男性ホルモンDHTの生成を抑制するため、服用することでホルモンバランスが乱れる可能性があります。
DHTには、AGAを引き起こす以外に、気力ややる気を出す作用があるため、デュタステリドによってDHTの生成が阻害されると、気力が低下し抑うつ気分になる場合があります。
発生頻度としては1%未満のため、確率的には少ないですが、もしデュタステリドを服用し始めてから眠れなくなった、気力ややる気がなくなった場合、使用を中止し医師に相談してください。
乳房障害
こちらも発現率が1%未満と確率的には低いですが、胸が女性のように大きくなったり、毛乳頭や乳房に不快感のある「乳房障害」が現れたりする場合があります。
女性だけではなく、男性の体の中にも一定の女性ホルモンが存在するため、デュタステリドを服用することでその分解が遅れてしまいます。
そのため、ホルモンバランスが崩れ、乳房に影響を及ぼすと考えられています。
腹部不快感
副作用のひとつとして腹部の違和感や腹痛、下痢の症状が現れる場合があります。
発生頻度は腹部の違和感が1%未満、腹痛と下痢が頻度不明です。
服用を開始した初期の段階によく現れる症状で、服用を継続することでしだいに体が慣れ、解消します。
デュタステリドについて
デュタステリドはAGA治療薬のひとつで、AGAの進行を抑制する「守りの効果」がある治療薬といわれています。
デュタステリドに関して国際的におこなわれた試験では、デュタステリドとフィナステリドの比較も行われています。
両方を24週間投与した試験結果がこちらです。
デュタステリド(ザガーロ) | フィナステリド(プロペシア) | |
---|---|---|
成分量 | 0.5mg | 1mg |
変化量(髪の本数) | 89.6本 | 56.5本 |
デュタステリド0.5mgは、頭頂部の直径2.54cm以内における発毛本数が約90本、プロペシア1mgは約57本と報告されており、この結果からデュタステリドはフィナステリドと比較して1.6倍の効果が期待できるといえます。
デュタステリドの効果
デュタステリドは、薄毛を改善する効果が期待できるAGA治療薬です。
薄毛は男性ホルモンであるテストステロンが、体内の5αリダクターゼ酵素(Ⅰ型、Ⅱ型)と結びつき「ジヒドロテストステロン(DHT)」を生成することにより引き起こされます。
有効成分デュタステリドは、この5αリダクターゼ酵素の働きを阻害し、DHTの生成を抑制することで、薄毛を改善します。
デュタステリドの服用方法
デュタステリドには0.1mgと0.5mgの2種類がありますが、どちらも服用方法は同じです。
一度服用すると次の服用まで24時間の間隔が必要なため、毎日同じ時間に飲むことをおすすめします。
服用回数 | 1日1回(0.1mg~最大0.5mg) |
---|---|
服用量 | 1錠 |
服用方法 | コップ1杯の水やぬるま湯で服用 |
デュタステリドの副作用に関するQ&A
ここでは、デュタステリドの副作用に関するQ&Aを紹介します。
デュタステリドの副作用で抜け毛が増えることはありますか?
デュタステリドの服用を開始して初めの1ヶ月~3ヶ月頃に、「初期脱毛」という副作用がおこる場合があります。
有効成分のデュタステリドにより、乱れていたヘアサイクルが正常に戻る際、古い髪の毛が下から生えてきた新しい髪の毛に押し出され、一時的に抜け毛が増えるからです。
副作用は治療薬の効果が現れている証拠でもあるため、初期脱毛の症状におどろき服用を中断せずに継続してください。
また、人によっては効果があっても初期脱毛が起こらない場合もあるため、初期脱毛の有無だけでは判断しないでください。
デュタステリドの副作用で体毛が濃くなることはありますか?
デュタステリドの副作用で体毛が濃くなることはありません。
AGAは男性ホルモンが体内の酵素と結びつくことで発症する疾患ですが、デュタステリドが酵素の働きを阻害するため、身体全体の体毛が薄くなる場合があります。
デュタステリドの副作用で精子への影響や妊娠への影響はありますか?
デュタステリドの服用により、精子へは多少の影響がありますが、妊娠へは大きな影響を与えないと報告されています。
- 総精子数:23%減少
- 精液量:26%減少
- 精子運動率:18%減少
総精子数や精液量、精子運動率はやや減少傾向ですが、精子濃度や精子形態への変化は見られなかったため、妊娠へ大きな影響は与えないとされています。